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10月1日からの、医療改悪で、広島中央保健生協の病院や各診療所、訪問看護の現場では、患者様の悲痛な声が聞かれます。
生協組合員にお配りしている新聞「けんこう」2002年10月号に掲載された記事を紹介します。
窓口負担が10倍に(福島生協内科クリニック)
在宅酸素療法を受けている患者様。窓口負担が10倍になり、今回の医療改悪について説明しましたが、あまりのひどさに言葉はなく、黙ったままでした。薬代がどのくらいかかるのか不安になる方、続出。

「このあいだ70歳になって安くなったばっかりなのに・・・」(草津診療所)
「今日から1割負担になりますから」と告げると、「今日は胃薬はいらない」という言葉が返ってきました。「このあいだ70歳になって安くなったばかりなのに簡単に医者にかかれない・・・」と。

「年寄りばっかりいじめるんじゃのう」(訪問看護ステーション コープ五日市)
訪問先の患者様は、「薬代が高いから薬の量を減らさないといけないねぇ」との事。必要な薬なんですが…。医療からの追い出し、介護へ移行、しかしその介護を利用するにもお金がいる。「年寄りばっかりいじめるんじゃのう」となげいた患者様の気持ちは切実なものです。

混乱が予想される償還払い(コープ五日市診療所)
診療所の窓口負担だけを見てみると、患者負担は逆に減っている人もいます。しかし、薬代の負担が増えたことにより、全体の負担額は上がっています。診療所も受給者証の確認など、作業に追われています。問題は償還払いによる手続きです。いったん全額払うのも厳しいですが、高齢者にとって領収書をとっておくこと自体が難しく、それから行政へ手続きすることができるかたは少ないのではないでしょうか。混乱が予想されます。

「私は被爆者手帳を持っているが…」(ある患者さまの声)
16歳で被爆(1.8キロ)、あの時は大変だった。私は被爆者手帳を持っているので、今は治療費はいらないが、夫(77歳)はC型肝炎、血圧も高い。二人合わせて20万円の年金(厚生年金はない)の中から、介護保険の負担(九千円、二人分)は大きい。今は元気だけど、寝付いたら心配。なのに10月1日から医療費が高くなりとても不安。
広島中央保健生協は、広島県保険医協会、広島医療生協、広島県高齢者運動連絡会、広島県民主医療機関連合会との連名で、広島市長に対して、以下の内容の「高齢者の医療を福祉制度に関する要望書」を提出、11月21日、この要望書に基づき、広島市保険年金課と交渉を行いました。
高齢者の医療と福祉制度に関する要望書
 高齢者の医療と福祉について、日頃から御尽力されていることに感謝申し上げます。
 さて、去る10月1日から高齢者の医療費一部負担が完全1割(高所得者は2割)となり、医療機関においては、とくに在宅患者などから、「往診の回数を減らしてほしい」「服薬指導はいらない」など、生活防衛のため、悲痛な訴えが届いています。
 来年度は介護保険料の引き上げ、年金引き下げなど、高齢者の生活不安をますます募らせる施策が用意されています。
 現役世代には、リストラや倒産による失業の不安がいっそう高まるなかで、本人3割負担が待ち構えており、すべての国民が生活の先行き不安を感じております。
 こうしたなかで私たちは、当面、高齢者が安心して医療がうけられるよう、以下の5項目について緊急に要望しますので、早急に実現のため努力されますよう、お願いいたします。
1.国保一部負担減免制度を老人医療の対象者にも適用してください。
2.高額療養費貸付制度を老人医療の償還払い制度にも適用してください。
3.減額認定証の申請用紙を医療機関の窓口にも配布し、交付を受けやすくしてください。
4.上限を越えた人には個人通知をしてください。また償還払いの申請を郵送でも受け付
  けてください。
5.2002年10月1日以降に70歳になる高齢者に「国保資格証」を発行しないでください。
広島市保険年金課との話し合い結果報告
 ※ 減額認定証申請用紙
               →医療機関から要請があれば窓口に置いてもらってもよい。

 ※ 上限を越えた高齢者への通知
               →通知する。いま、通知内容をどういう内容にするか、詰めをしている。

 ※ 償還払いの申請を郵便で
               →最初の申請だけは、口座番号の確認など間違いがあってはいけない
                 ので、窓口に来てもらうが、2回目以降は可能。
上記の要望書にもとづき、11月21日広島市保険年金課と交渉しました。
広島中央保健生協、広島医療生協、保険医協会、民医連、高齢者運動連絡会から12人が参加。
市からは、課長、課長補佐、担当職員計5人が対応しました。要望書の1・2・5 については、「ゼロ回答」でしたが、引き続き市として努力してほしいと要望。
3・4については、上記のような前進した回答がありました。
ゼロ回答部分も引き続き要求していきます
医療と福祉の制度についてのお問い合わせは、広島中央保健生協の病院や診療所などへ、お気軽にお尋ねください。福島生協病院では、相談室に、MSW(相談員)を配置し、皆様のお問い合わせや、相談に対応しています。
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